いつかはやらないと?
マニュアルのWeb化

2024.11.20

シリーズ第4回では、HTML版Webマニュアルについてご説明しました。

シリーズ第5回は、効率的なHTML版Webマニュアルの制作方法についてご紹介します。

効率的なHTML版Webマニュアルの制作方法

実現するためのポイント

前回、HTML版Webマニュアルの制作過程をご説明しましたが、Web独自の機能を除けば、情報そのものは紙媒体と同じです。効率的な制作の第一歩は、既存の情報をうまく活用することから始まります。

これまで紙媒体のマニュアル制作には、以下のアプリケーションが使用されていました。

  • Adobe FrameMaker
  • Adobe InDesign
  • Microsoft Word

これらはDTP編集の代表的なアプリケーションであり、印刷会社や編集会社、あるいは自社のドキュメント制作部門のほとんどが使用しています。

一方、HTML版Webマニュアルは、テキストエディタだけでも制作可能です。しかし、紙媒体の情報を手作業で再構築するのは効率的とはいえません。できる限り従来のアプリケーションを使用し、過去の情報資産を活用しながら、Web版マニュアルの制作を進めたいところです。

これを実現するためのポイントが、DTPデータの内部に保持された、または編集アプリケーションから出力できるXMLデータです。 XMLは情報を構造化して保持するため、データ変換において大きなメリットとなります。つまり、このXMLを上手に変換すれば、HTML版Webマニュアルの制作が可能になるのです。

それでは、従来のDTPアプリケーションとXMLの関係を少し掘り下げてみましょう。

Adobe FrameMakerのXMLについて

Adobe FrameMaker(以下、FM)は、ボリュームのある文書に適したDTPアプリケーションです。マニュアル制作に携わった方なら、一度は聞いたことがあるでしょう。このFMは、XMLをオーサリングできる構造化文書モードがあります。ただし、従来のDTP作業は非構造化文書モード(XMLをオーサリングしない編集方法)で作られていることが多く、そのままではFMデータを有効に活用できません。FMのマッピング機能などを使用して、非構造化文書からXMLを出力する工程が必要です。新規案件は構造化文書として制作することが望ましいですが、従来の工程(紙媒体用のDTP作業)はそのままとし、XMLを利用したHTML生成工程を加える方法が、既存データを活用したHTML版Webマニュアル制作の効率的な方法となります。

Adobe InDesignのXMLについて

Adobe InDesign(以下、ID)は、自由にレイアウトができる反面、複数のテキストフレームを連結しないでレイアウトすることが多く、変換に不向きな点も存在します。その場合は、ファイル内の文章を1フローにする作業が必要となりますが、この作業後、FMと同様にマッピング機能などを使用してXMLに出力することができます。また、IDの互換ファイル(IDMLファイル)にはXMLが内部保持されているため、このXMLを利用したHTMLの生成も効率的な方法の1つと言えます。ただし、いずれの方法も制作工程を完成させるためには相応のイニシャルコストがかかるため、少量のHTML版Webマニュアルを制作する場合には費用対効果が見込めません。効率的ではありますが、コストを鑑みた場合、効果的かどうかは制作量の多寡に委ねられます。

Microsoft WordのXMLについて

Microsoft Word(以下、Word)には、他のアプリケーションと同様にXML やHTMLの書き出し(Webページ保存)機能があります。しかし、この完成度もあまり高くありません。WordもまたIDと同様に、Wordファイル内部のXMLの利用が効率的です。

Wordが保持するXML(Office Open XML)は、ISO/IEC 29500として標準化されています。FMやIDと比較して、この標準化XMLを利用したHTML版Webマニュアルの制作が、制作アプリケーションを介せず変換できるため、一番シンプルな工程となります。

変換体験サイトを公開中

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体験をお申し込みの方は、当社担当者までご連絡ください。

今回は、効率的なHTML版Webマニュアルの制作方法について説明しました。具体的には、既存の紙媒体マニュアルのデータを活かしながら、HTML版Webマニュアルを制作する方法をご紹介しました。しかし、最も効率的としてお勧めしたWordからのHTML版Webマニュアル制作においても、システム開発には相応の初期費用がかかり、マニュアルの本数やページ数によっては費用対効果が得られない場合があります。この点については、それぞれの事情を考慮して制作方法を選定する必要があります。

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