いつかはやらないと?
マニュアルのWeb化

2022.07.26

タブレットやスマートフォンの普及が、手軽なインターネット接続を可能とし、さらに5Gサービスの開始が、モバイル通信の可能性を飛躍的に拡大させています。こうした環境の中、マニュアルのWeb化が、メーカーにとっての必須要件として重要度を増しています。

しかし、実際に進めようと思うと多くの課題に行き当たり、なかなか前へ進めない…というケースが多々あるようです。そんな方のご参考になるよう、プランツが考えるマニュアルのWeb化をご紹介したいと思います。

シリーズ第1回は、現状の「マニュアルのWeb化が抱える課題」についてです。

マニュアルのWeb化が抱える課題

製造物責任(PL)法への対応

製品の使用に関する注意警告の不備は「指示・警告上の欠陥」と解釈され、製品の使用前にこれらが使用者へ伝わる配慮が必要です。紙媒体のマニュアル冒頭に何ページにもわたる警告注意が記載されているのは、これが理由です。

国際規格IEC82079-1:2012ではWebだけによる配信も可能としていますが、使用環境やユーザー層などを考慮に入れると、紙媒体による配信を簡単に外すことはできません。

そのため、当面は紙媒体とWebを両立させることが最善の手段だと考えます。

Webで警告注意をユーザーに伝える工夫として、どのページを開いても最初にPL情報が表示される「Webならではのインターフェイス」なども次回以降にご提案したいと思います。

Webマニュアルの可用性について

製品の予想耐用年数期間中、マニュアルはいつでも読むことができる状態にしておく必要があります。その耐久性が百年と言われる紙媒体であれば、倉庫への保管でこの問題にも対応できました。ところが、Webの場合は技術革新の著しさが災いし、10年後の閲覧環境が予測できません。このため、Webマニュアルは、技術の進歩に合わせた改修が必要です。

Webマニュアルの可用性は、この部分に一抹の不安があります。…とは言え、現状のWebマニュアルはHTMLソースが基本であり、即ちテキストデータで作成されています。アプリケーションソフトに依存することもなく、置換技術が成熟した分野であることは間違いないので、過剰なご心配は無用かと思います。

Webマニュアルのセキュリティ対策

BtoC製品は、Webマニュアルで製品の詳細を知ることができます。近年では、これをマーケティングに活用する事例もあるようです。しかし、BtoB製品では、誰でも閲覧可能なマニュアルの公開は、セキュリティの面からもNGとされています。こうしたWebマニュアルのセキュリティ対策には、製品購入者だけが閲覧できるパスワード設定や、会員制サイトの構築があります。また、ネットワークにおけるセキュリティリスクへの備えとして、閲覧履歴の管理も重要なWebマニュアルのセキュリティ対策となります。当社ではこれらの対策にも柔軟に対応しています。

マニュアルのWeb化には、この他にも細かな課題が散在します。しかし、それ以上にWeb化のメリットがあることは、すでに周知の事実です。

次回は、そうした「マニュアルのWeb化のメリット」についてご説明したいと思います。